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最新研究報告

大豆イソフラボン、クルクミンサプリメントによる前立腺への効果

PSA高値で前立腺生検を受けても前立腺がんが検出されないケースは少なくありませんが、そのような患者に対する前立腺がん発症予防のための対応について、臨床的に一定のコンセンサスが得られているとはいえません。

帝京大学医学部附属病院泌尿器科の研究グループは、大豆イソフラボン・クルクミン含有サプリメントによるPSAの抑制効果や前立腺がん細胞株を用いたPSA産生ならびに発がん抑制効果の可能性について検討を行いました。

倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを得た前立腺生検陰性患者89名を対象とし、発酵大豆胚芽抽出物およびクルクミンエキス末を主成分とする錠剤(サプリメント錠)またはプラセボ錠を内服してもらいました。2重盲検法により割り付け、6ヶ月間連日服用し、PSA、IPSS(国際前立腺症状スコア)、QOL(生活の質)を開始時と6ヶ月後に測定しました。

また、前立腺がん細胞株LNCaPを用いて、大豆イソフラボン、クルクミンのPSA産生ならびにDNA-damage signaling pathwaysにおける生物学的関与について、ELISA法ならびにWestern blotting法を用いて検討しました。

その結果、PSAが10ng/ml以上のサプリメント群で、プラセボ群と比較し、統計学的有意に血清PSA値が低下しました(P<0.001)。Western blottig法やELISA法を用いて測定したLNCaP細胞によるPSA分泌量は低下しており、大豆イソフラボンとクルクミンの相乗効果がみられました。

また、大豆イソフラボンとクルクミンにより、濃度依存的にDNA-damage signaling pathwaysであるChk2、H2AX、P53のリン酸化が誘導されており、それらの相乗効果もみられました。

これらの結果から、発酵大豆胚芽抽出物とクルクミンエキスの併用は細胞周期チェックポイントに関与する蛋白を相乗的に活性化し、PSAを減少させ、DNA-damage signaling pathwaysを介して前立腺発がんを抑制する可能性が示唆されました。

・論文:
大豆イソフラボン・クルクミンサプリメントによる前立腺への効果. 堀江 重郎、上山 裕、安田 弥子、井出 久満、武藤 智. 帝京大学医学部泌尿器科 第7回日本抗加齢医学会総会 演題番号P048

by 事務局スタッフ