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最新研究報告

運動は前立腺がんの死亡リスクを低下させる

2019.07.04

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運動習慣と前立腺がんの死亡リスクとの関連について調べた研究報告をご紹介します。

ハーバード大学公衆衛生学部およびカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、前立腺がんの男性患者を対象として行った試験で、サイクリングやテニス、ジョギング、ランニング、水泳といった「活動的な身体的活動(vigorous physical exercise)」を適度に行うことにより、前立腺がん患者のがんによる死亡リスクが低下することが示されました。

前立腺がんと診断された後に、日常生活で運動習慣を身につけることによって、前立腺がんの進行リスクを低下させることが可能であると研究者は指摘しています。

2,705人の前立腺がん患者を対象に、18年間にわたって追跡調査を実施、参加者は週ごとにウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳やアウトドア活動などのさまざまな身体活動がどのくらいあったかという時間を申告しました。その結果、中等度からより活動的な運動をした男性ほど、全般的な生存率が高いことが分かりました。

緩いスピードで90分未満のウォーキングを行うグループに比べて、やや速いスピードで90分以上歩いていたグループでは、総死亡率が46%低下していたとのこと。

活発な運動 (週当たり3時間を超える運動)のみが、前立腺がんによる死亡リスク低下に関連しており、活発な運動を行っていたグループでは、週あたりの運動が1時間に満たないグループに比べて、前立腺がんによる死亡リスクが61%低下していました。

さまざまなレベルにおいて、運動それ自体が健康に与える有益性が示唆されており、前立腺がん患者においても、健康を高めるための運動を行うべきであると研究者らは指摘しています。

たとえ運動が15分間のウォーキングやジョギング、自転車こぎや庭仕事などのような簡単なものであろうとも、やらないよりはやったほうが健康には寄与するとのこと。

ただし、週当たり3時間以上のしっかりとした運動は、全般的な健康を高めるのみならず、 前立腺がんの患者の予後を改善する上で効果的なようです。

・論文:
Physical activity and survival after prostate cancer diagnosis in the health professionals follow-up study. J Clin Oncol 2011; 29: 726-732

by 事務局スタッフ