part1 PSA検査について知ろう

PSA検査でわかること

PSA検査の結果を見るうえで大切なことは、数値に翻弄されないことです。あくまでも前立腺がんの可能性を探る検査だということを忘れずに。

データを見るにあたっての心得

1. データがすべてではない。
泌尿器科医は、PSA値をひとつの指標として症状を判断します。しかしデータはあくまでもデータです。人間には個体差がありますから、データがすべてではないことを念頭に置いたうえで、見ることも大切です。PSA検査だけでは、前立腺がんの確定診断はできません。
2. PSA値が高くても、必ずしも前立腺がんとは限らない。
PSA値は、前立腺肥大症でも高くなります。PSA値は、あくまで前立腺がんを発見するきっかけとなるひとつの基準です。実際、PSA値が高くても、がんがみつからない人が100万人いるといわれています。PSA10.0ng/ml 以上で生検をしてもがんが検出されない人もいます。
3. PSA値が基準値でも、前立腺がんの可能性がゼロではない。
逆にPSA検査で異常がなくても、小さい前立腺がんが隠れている可能性や、将来前立腺がんへと進んでいく可能性もあります。がんがあってもPSA値が高くならない場合もあり、そのようなケースが全体の2〜3%は存在します。さらにこのような前立腺がんはたちの悪いものが多いと言われています。
4. 前年と比べて、0.75ng/ml 以上上昇したら、がんの可能性が高まる。
PSA値が基準値でも、まったく前立腺がんの疑いがないとは断言できません。基準値の範囲内でも、前回測定した数値がいくつかによって判断が変わってきます。数値の増加が大きかったら、がんに罹っている可能性は高くなります。1年で0.75ng/ml 以上上昇したら、または、2年で2倍以上になったら、がんを疑えとも言われています。基準値内でも毎年上昇が見られたら、これもまたしっかり経過を見ていく必要があります。
5. 人間の体は常に同じ状態ではなく、そのときどきの変化がある。
午前と午後、その日のコンディションなどでもPSA値はわずかに揺れ動きます。検査前に射精していると、わずかに高くなる傾向があります。また、昨今の自転車通勤ブームなどで定期的にペニスの付け根と肛門の間の会陰部に刺激を受けている場合でもPSA値が高くなります。そのため、日をおいて、再検査してみることも一考です。健康管理のひとつとして、半年に1度ペースで検査を受けている人もいます。

コラム 日本では泌尿器学会と厚労省でPSA検査に対する意見が分かれる理由

コラム 日本では泌尿器学会と厚労省でPSA検査に対する意見が分かれる理由

日本ではPSA検査を推奨する泌尿器科学会と、推奨しない厚労省で意見が分かれています。厚労省が推奨しない立場をとっているのは、「前立腺がんの多くは進行が遅く、放置しても寿命には関係しない。死亡率を減少させる効果が証明できない」という考え方からです。

実際、前立腺がんは急増していますが、進行が遅いものが多く寿命への影響が少ないという見解があります。前立腺がんの発症年齢が高いために、がんが早期発見で治癒しても他の病気で亡くなる可能性も否めません。とはいっても個人の健康管理がいちいち公式見解に左右される必要はありません。本人の意志で決めることです。血液検査でわかるがんは、白血病と前立腺がんだけで、前立腺がんは自覚症状のない早期に発見できれば、適切な治療により根治も可能なことは事実です。

また、PSA検査がどれくらい有用なのかを知る手がかりとして、最もわかりやすいのは、前立腺がんの治療のプロである泌尿器科医の多くは50歳を超えると、毎年、自分のPSA値を測っているということかもしれません。

検査結果の見方

PSA値には、基準値、危険値、基準値と危険値の間のいわゆる「グレーゾーン」という3つの範囲があります。この数値を指標として泌尿器科医は症状を判断します。 これまで一般的に4.0ng/ml未満が基準値とされてきましたが、最新データでは2.5ng/ml未満で前立腺がんが見つるケースが報告されています。このため、最近では年齢に合わせた基準値を設定することが推奨されています。

検査結果が基準値内で陰性なら

検査結果が基準値内で陰性なら

「基本的に問題はなく、1.0ng/ml以下でとどまっていればより良好です。ただし基準値を示しても前立腺がんの疑いがゼロとは断言できません。PSA値があまり上昇しない前立腺がんもあるからです。基準値内でも、毎年数値があがってくるようなら注意が必要です。

検査結果がグレーゾンの場合

検査結果がグレーゾンの場合

釈然としないのがグレーゾーンですが、約25〜30%の人に前立腺がんが見つかるといわれています。前立腺がんではなく、前立腺肥大症や前立腺炎など、前立腺の他の病気でPSA値が高く出てしまうこともありますので、それらの病気と前立腺がんの鑑別検査が求められます。

検査結果が陽性と出てしまったら

検査結果が陽性と出てしまったら

前立腺がんの可能性は高まりますが、=前立腺がんという判別はできません。ほかの要因(前立腺肥大症や前立腺炎)でも陽性が示されることもあるからです。ただし、PSA値が10〜20ng/mlでは約50%の人に、20ng/ml以上の人は約90%の確率でがんが見つかるといわれています。直腸診や超音波検査、造影MRI検査で前立腺の状態を調べ、がんが疑われたら前立腺生検で組織そのものをとってきて、がんの有無を直接調べる必要があります。

なるほど〜。前立腺肥大症や前立腺炎でもPSA値は高くなるのか。おしっこの出が若いときのようにはいかないのは、肥大のせい? 「トイレを汚しすぎ」と妻にも言われるし…。 そうですね。自分の前立腺とは自分でつきあっていくしかありません。 最近は、夜間のトイレの回数が増えて、妻と寝室を別にしました。前立腺の悩みは、なかなか女性には理解してもらいにくいです(汗)。 気を取り直して、Part2へ行きましょう!次はPSA値を高めてしまう3つの前立腺疾患について見ていきます。